障害児の息子の他害を考える

(障害児)育児は自分育て

重度知的障害児の我が家の息子にも、他害行為があります。

障害児(者)の他害で困ること

障害児(者)の他害行為で困るのは本人も周りの人達も危険だというのは当然です。

しかし、それだけではなく、それによって周囲の人との関係にもヒビが入ることもあります。

そして、将来の行き場がなくなり困ることもあります。

実際に障害者を受け入れている事業所では、他害行為がある人は入所や利用を断るというところも多いようです。

昨年の夏頃に母ちゃんが見学に行った生活介護の事業所さんでも利用の条件の冒頭に挙げたのは、他の利用者への他害をしないことでした

職員さんへの他害は受け入れると仰ってましたが、職員さんだってきっと嫌だよなぁと母ちゃんはこっそり思いました。

これらの理由からも、他害行為は本人の為にも周囲の人の為にもないに越したことはありません。

我が家の息子の他害

我が家の息子はこども園に入園して年長くらいになってくると、怒った時や特定の人の気を引くために背中や腕を叩くようになりました

これには本当に長年頭を抱えております。

まず叩かれた人に申し訳なくて仕方がありませんでした。

しかし、やるなと止めたところで本人は理解できず、怒られると余計に怒って叩いてくることもありました

まさに負のスパイラルでした。

息子の他害への対策で成果が見られた対処法

1.人への声の掛け方を教える

人の気を引く為に叩くこともあった息子ですが、これは要求がある時やかまって欲しい時に言葉で言えるようになってくると減っていきました

例えば、遊んで欲しいのかなという時はくすぐられるのが好きな息子なので、くすぐる前に

母ちゃん
母ちゃん

「こちょこちょする?そういう時はこちょこちょ(してください)って言って。」

息子
息子

「こちょこちょ(ください)。」

母ちゃん
母ちゃん

「よし!こちょこちょ〜。」

というように要求を言葉で言ってもらう練習をしました。

ある程度自分から言葉で要求を伝えられるようになると、次第に気を引く為に叩くことは消えていきました

2.怒りの捌け口をもの(床)に変える

怒れてしまった時に床を足でダンダンと踏むように教えました。

人を叩くという行動を床で地団駄を踏むという行動に代えようと母ちゃんは考えたのです。

最初は壁を蹴るように言ってみたのですが、小学2年生の頃の担任の先生に「壁だとベランダなどの大きな窓なども同じように蹴ったりすると危ないかも」と指摘を受けました。

そりゃそうだと思い、すぐに方針を転換し、床を地団駄を踏むような怒り方に変えました。

中々伝わるまでに時間がかかりましたが、最近では気に入らないと床をダンと踏み鳴らすことも増えてきました

うるさいけれど、人を傷つけるよりはいいかなと思っています。

3.泣き落とし

なんじゃそりゃと思われるかもですが、実はこれが一番効果がありました。

息子が小学4年生の時だったと思います。

1年生の頃の担任だった先生が、その時には息子のクラスの補助に入ってくれていました。

その先生が息子に押された拍子に棚に腕をぶつけてしまったそうで、先生は顔を覆って「えーん、えーん、痛いよう」と泣き真似をしてみました。

すると、息子は「しまった!先生を泣かせてしまった。」と分かったらしく、さっと顔色を変えてオロオロし始めたそうです。

先生は「人が悲しんでいるのが分かるようになって、成長を感じたのでお母さんにぜひ教えたくて。」と言ってその話をして下さいました。

その先生の成長を喜んで下さったのがめちゃめちゃ嬉しかった母ちゃんでしたが、その時に同時に

これだ!

と思いました。

それからは母ちゃんは叩かれる度に「えーん、えーん」と顔を覆って悲しそうに泣く真似をするようにしました

すると、息子はオロオロしながら顔を覆った手を剥がそうとするようになりました。

どうも泣き止んで欲しくて顔から手を退かそうとしているようでした。

母親が悲しんでいるのを見て、叩くと悲しませてしまうんだということを学んでくれたようでした

これを続けていると叩こうとする時に躊躇するようになり、次第に叩くことが減っていきました。

叩いてしまってもバシっという強さから、パシッもしくはペシペシくらいに力加減をするようになりました。

もちろん、完全になくなったとは言えず、5年生になってからも去年の進級時のストレスが溜まった時期にはお友達を叩いてしまうこともあったそうですが、段々とそれもなくなってきたようです。

番外編:児童精神科の先生から言われたこと

この叩いてしまう問題を児童精神科の先生にお話をした時に言われたのは、怒り方の良い例を見せるといいということでした。

子供向けの番組やアニメで、人を傷つけずに一人で怒っているようなシーンなどを見せていい怒り方の例を見せるのがいいと言われました。

それから、息子が怒っている時に「怒るときは床をダンダンってしなさい」と地団駄を踏むのを実際にやってみせたりしました。

もし好きなアニメでこれはいいかもという例が見つかったのなら、それがいいお手本になったかもしれません。

しかし、当時から息子が見ていたNHKの子供向けの番組は平和な内容が多くていいお手本になりそうな怒り方をしているのがなかったんですよね。

中々上手くはいかないものだなと思います。

息子の現状

そんな訳で、我が家の息子は最近は怒ると地団駄を踏むようになりました

たまに壁を蹴ってしまう時もありますが、その時は床にしてもらうように声掛けをしています。

もしくは同情を引こうとしているのかと疑いたくなるような感じで、突っ伏して大泣きするという方向にも変わってきています

それでも、人や自分を叩いたりして傷つけるような怒り方よりはだいぶマシになったかなと思います。

これで完全に消えたという訳ではないので、まだまだ試行錯誤は続きますが、悩んでいた昔よりはだいぶ少なくなりました。

息子は生活環境や生活リズムの変化にストレスを感じやすいのですが、家族や友達など周囲の人のメンタルにも影響されることもあります。

家ではなるべく穏やかに過ごせるように気をつけながら、これからも試行錯誤を続けていこうと思います。

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