障害児を産んで育てて思うこと

障害児の息子が産まれて11年ほど経ちました。

現在小学5年生で特別支援学校へ行っていますが、考えてみるとあっという間に10年近く経ったなと思います。

これまでに産んで育ててきて色々なことを考えたり、悩んだり、時には大人気なく泣いてしまったこともたくさんありました。

今日はそんな障害児の母ちゃんになって思ったことを振り返りたいと思います。

子育てって一人でできるもんじゃない

これは障害児に限らず、普通の子を育てる親御さんでもそりゃそうだと思うと思います。

子供を一人で育てるのって、不可能です。

うちの子たちもお父ちゃんをはじめ、おじいちゃん、おばあちゃん、私の兄弟、こども園や学校の先生、放デイの職員さん、近所の方、息子のことを知っている友人、かかりつけのお医者さん、言語訓練・作業療法の先生、もうパッと思いつくだけでも何十人どころで収まりきらない人たちに助けてもらってきました。

息子は産まれてからこども園に入るまでそれはもう寝ない子でしたから、母ちゃんは寝不足でそれはもう毎日のように情緒が不安定でした。

明日も仕事があるのに夜中に代わりにあやしてくれたお父ちゃん、当時親の介護をしていたのによく息子や娘の面倒を見てくれた私の両親、本当にとても助かりました。

こども園に息子が入った時もその園の先生方は本当に大変だったと思うのに、息子を周りと合わせようとするのではなく、息子がどうしたら楽しく過ごせる場になるかをできるだけ寄り添おうと考えてくださっていました。

トイレトレーニングの件でもすごくお世話になりまして、息子がトイレで用が足せるようになったのはこども園の先生方のおかげとしか言えないくらいです。

支援学校の先生や放デイの職員さんは困り事を共有して一緒に対策を悩んで下さるので、いつも心強いです。

もう皆さんの知恵や経験による対処法が参考になったり、偏食がだいぶ改善されてきたり、それがなかったら息子はもっと手がかかりまくっていただろうなと思います。

それ以外でもスクールバスの道すがら息子に行ってらっしゃいと声をかけてくださる近所の方、お陰で挨拶が返せる時が増えてきました。

一緒に息子を育てて下さるたくさんの方がいることに本当に感謝する毎日です。

子育てで知った人の温かさ

息子や娘を育てるようになって、自分の至らなさを実感することも多かったですが、それ以上に世の中には助けてくれる人が多いことを知りました。

障害児のために働いてくれている人たちや、国や行政が整えてくれている手助けの形、何より知らなかった助けてくれようとする方達の温かさと懐の深さ。

子育てするようになって、嬉しい時もこんなに涙が出るのかというのを何度も何度も実感しました。

だって、こんなに手のかかる息子なのに可愛がってくれたり、何度だって声をかけてくれたり、すごく親身になってくださる方がいて、それは嬉し泣きもたくさんしてしまうというものです。

他人と比べるより、自分や息子、家族が幸せかを模索する

もっと頑張らないといけない。

こんなこともやれないなんて自分はダメな母親だ。

昔はそんなふうに頑張れない自分にダメ出しをしては自分を傷つけるようなことをよく考えてしまっていました

でも、そんなある日お父ちゃんにこう言われたことがありました。

どうせ自分たちはすごい人なわけでもないから、そんなに気負わずに楽しくやれる方がいいんじゃない。

・・・。

ちょっと言われた時は「そりゃあそんなすごくないけどもさ」と悔しい気持ちもありながらも、次第にストンと入ってきました。

いつの間にか、テレビに映る素敵なママタレントさんや周りにいる素敵なお母さんたちと自分を比べて卑下しておりました。

でも、状況も環境も育てる子供も違うのにそんなことしても仕方ない。

それよりガサツでズボラでちっとも素敵じゃないけど、少しでもニコニコ機嫌よく育てられる方が自分にとっても子供にとっても幸せじゃん

それに気づいてからは、自分や家族なりの充実感や満足感を得られる方法は何かと探すようになりました。

冷凍食品でも手抜き料理でも息子や娘が美味しく栄養が取れればいいし、家事も家族や自分が楽しく健康に暮らしていられるなら手を抜けるところは抜くし、手伝ってもらえるならお願いするようになりました。

自分自身を大切にする時間もきちんと取るように心がけています。

今では大分肩の力も抜けて、自分や家族の笑顔や幸せを感じる時間も多くなってきたかなと思います。

上手に手を抜くことを大分覚えました。(笑)

障害児でも幸せ

息子に障害があるだろうことが分かってきた時に、普通の子に産んであげられなくてごめんねと思っていた時がありました

でも、育ててきて分かるのは、息子はできないことも多いけど、好きなものもたくさんあって、楽しい時もたくさんあって、健常児のお子さんと同じくらいに人生を楽しく過ごしているということでした

公園で遊具に楽しそうに登っていくし、踏切で電車を見れば楽しそうだし、大好きなおじいちゃんとおばあちゃんに会えたらニコニコします。

学校に行くのが大好きで、放デイでは手作りのおやつを美味しくいただいて、そこにいるお兄さんお姉さんに可愛がられ、お友達と楽しく過ごして帰ってきます。

もちろん、大人になったらどうしようとか先々に不安に思うこともあるけれど、親が思っていたよりも遥かに息子は楽しく逞しく幸せそうに生きているなと思います。

子供を育てることで生きていると強く実感する

子育てしていると色々と大変なことも多く、病気や怪我や学校での人間関係など他にも色々と心配や悩みの種は尽きません。

でも、そうやって悩んで色々と試行錯誤したり、色々な人に相談したり、時に泣いたり、もう嫌だと投げ出したくなることもあります。

そんな七転八倒しながら息子と娘を育ててきて、今までの人生でこの十数年が一番自分は生きているんだと骨身に染みて感じます。

私は安穏としているだけよりも、誰かを思って屡々泣いて歯を食いしばるくらいの方が生きている実感が感じられるのかもしれません。

子を育てているつもりで自分が子に育てられていると仰る方がいらっしゃいますが、本当にその通りだなと思います。

大変だけれど、そこから得られる経験や気づきは本当に自分を育ててくれるものが多い。

親になって、自分という存在は小さいけれど、それでもできることがあって、幸せなこともあって、生きてるって面白くてありがたいなと強く感じるようになりました。

そんなことも含めて色々なことを教えてくれる息子や娘が本当に可愛くて、産まれて来てくれて本当によかった。

これからもたくさんのことを教わると思います。

そう思わせてくれる子供たちと、一緒に育てて下さる皆様、本当にありがとうございます。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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